母の記憶

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同年『12月24日』 朝、私は母と顔を会わせる事なく玄関で一言「いってきます」と母に声を掛け中学校へと登校した 以前は父と母と三人で朝食をとっていたのだが、今ではこれが当たり前のようになってしまっていた 私が学校から帰ると、いつもいるはずの母がいなかった 『買い物にでも行ったかな?』と最初は特に気にしなかった けれどふとテーブルを見た瞬間、事の重大さに気が付いた 『母は家を出て行ったんだ』とすぐに分かった 母は置き手紙と離婚届を置いて家を出て行ってしまった 父は仕事で現場に出ていた 私はテーブルの前に座り父の帰りを待った 手紙には一言『わがままを許して下さい。ごめんなさい』とだけ書いてあった
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