序章

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「・・・俺だってなぁ・・・はぁ・・・」  唐突だが、ここで魔法使についての解説をいれようと思う。  魔法使に必要なのは、言わずもがな、まずは魔力である。  これの有無が魔法使となりうるか否かを左右する。 完全にない者は、あきらめて一般職――例えば食料品店、衣料店など――に就くのだ。  次に、例え魔力があったとして、それを開花できるかどうかだ。一般的な養成学校はまずこの開花を促す訓練からはいる。大抵の場合、1ヶ月やってまったくダメな者は魔力がないと判断される。魔力を開花できたものだけが次のステップへと進むのだ。  次に、魔力を放出するための媒介を作ること。その媒介を媒体と呼び、これが大事だ。アルマは、最低ライン、このレベルまでを自分の力だけで会得した者しか入学を認めない。  媒体は、特になんでもいいのである。挙げるならば、杖などが一般的だ。メリアは少々長めの杖を媒体としている。  他にも様々なことがあるのだが、まぁ、ここまでが最低条件である。 「アルマ・・・」  どうしても入学したかった。とにかく、あちらこちらに手を向けてみる。どうすればいいか分からないので、とにかく、動けと念じながら。 アルマへの強い思いが通じたのかもしれない。  カタ・・・。 「ん?」  何か音がしたような気がした。 「まさか・・・?」  音のした方へ手をかざしてみる。  カタカタカタカタ・・・。 しっかりと視認した。それは、赤茶色のケースだった。 「これは・・・?」  ケースを開けてみる。中には鶴だとか、猪が書いてあるカードがたくさん入っていた。  少し前におばあちゃんが他国のお土産と言って置いていったものだ。綺麗だったのだが、何故か新品に見えなかった。  確かあれは・・・そうだ。  花札だ・・・!
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