8人が本棚に入れています
本棚に追加
天浄界―神を中心に様々な種族が生きる世界。私たちから見れば俗にいう死後の世界である。その中心にある爽聖殿。天暦6817年、いつもの静けさに見あわぬ大きな足音が爽聖殿の廊下に響いた―――…
バタバタバタ…バァン!!!
「神官様!!」
「あ……。」
危ないと言おうとする前に、部屋に入ろうとした少年は1㎝程の段差に躓(つまず)き、勢い良く転(こ)けた。
ベッシャアァアア!!
「ブフッ…痛~っ…」
顔面からダイブ…鼻を擦りながら涙目になっている少年を、ハァとため息をつき神官は見下ろした。
「…大丈夫ですか、雪柳。全く、何度転ければ学習するんです。」
そう、一度や二度のことではないのだ。
「~っ…すみません。あ、そうだ神官様!あの、えと…その、御子様のことで…!!」
明らかに挙動不審だ。神官はもう一度ため息をついた。
「…落ち着きなさい。この子が起きるでしょう…?」
ふと目をやると、神官腕の中にはスヤスヤ眠る赤子がいた。
「ゔっ;…あの、地上界にお送りになるというのは…?」
最初のコメントを投稿しよう!