プロローグ

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天浄界―神を中心に様々な種族が生きる世界。私たちから見れば俗にいう死後の世界である。その中心にある爽聖殿。天暦6817年、いつもの静けさに見あわぬ大きな足音が爽聖殿の廊下に響いた―――… バタバタバタ…バァン!!! 「神官様!!」 「あ……。」 危ないと言おうとする前に、部屋に入ろうとした少年は1㎝程の段差に躓(つまず)き、勢い良く転(こ)けた。 ベッシャアァアア!! 「ブフッ…痛~っ…」 顔面からダイブ…鼻を擦りながら涙目になっている少年を、ハァとため息をつき神官は見下ろした。 「…大丈夫ですか、雪柳。全く、何度転ければ学習するんです。」 そう、一度や二度のことではないのだ。 「~っ…すみません。あ、そうだ神官様!あの、えと…その、御子様のことで…!!」 明らかに挙動不審だ。神官はもう一度ため息をついた。 「…落ち着きなさい。この子が起きるでしょう…?」 ふと目をやると、神官腕の中にはスヤスヤ眠る赤子がいた。 「ゔっ;…あの、地上界にお送りになるというのは…?」
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