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「あ、大丈夫です!」
手を引っ張って、助け起こした相手はすごく綺麗な人…。
鮮やかな紺青色の髪は、肩まで届くかどうかの長さで、外側に向かってハネている。
薄い藍色に緑がかかった瞳は、雪のような白い肌によく映えていた。
まるでどこかのお嬢様のように手を口元に当て、柔和な笑みを浮かべる。
「良かった…お怪我をされたらどうしようかと」
「フツーはさぁ、まず弟の心配するもんじゃないの?」
「するんじゃないのぉ?」
ぶつかった少年が立ち上がって埃をほろいつつ、文句を言う。そんな少年の言葉を繰り返して尋ねるのは、彼と同じぐらいの歳の少女だった。
「なぁ?歌音(かのん)」
「ねぇ?詞音(しおん)」
同時に首を傾げる。鏡のように向かい合う二人は、背丈も顔も似通っていた。
「いや、無理だ無理。あるは、可愛いのが最優先事項だし」
続いて現れたのは、背が高めの男の子。
「当たり前です!詞音は死ななそうですから、可愛い人の心配するのは当然でしょう」
「そ、そんなことないです!」
慌てて、首を横に振ると今度は彼女が首を傾げた。
「あなた…光ちゃん…?」
「えっ?」
いきなり名前を呼ばれ、思わず聞き返した。
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