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「どうして、わたしの名前…」
「あ…ごめんなさいね?いきなり名前を呼んだりして。私の事分かる?」
首を傾げた。こんなに綺麗な人と一度でも会っていたなら忘れたりなんかしない筈だ。
「…やっぱり分からないわよね。あなたと―光ちゃんと私は、まだ…ここではまだ…出逢ってはいなかったようですしね」
「えっと…?」
寂しげに微笑むと詞音と歌音の頭を撫でた。
「でも、あなたに…以前、会ったことがあるの。その時はかけがえのない友人だった…あなたも―彼も…」
「出会い頭に変なこと言うなよな…てか、待ち合わせに遅れるぞ」
「そうだよ!行こう?」
「行こう!」
「そうね」
「「やったあ!」」
彼女以外のちびっ子達は走っていってしまう。
にこやかに、それを見送りつつ光の方を向いた。
「また…いつかどこかでお会いしましょう?」
「えっ、はい…」
そういった後、歌を歌いつつ、彼らが先に行ってしまった道をゆっくりと歩いていく。
─運命の十字をどうして貴方が背負わねばならぬのか?
罪なき者に、重荷を背負わせるそれが神なのか?
例え、罪なくとも彼は十字架をその身に負うのだろう
神の為でも、世界の為でもなく人々の為ですらない
ただ一人の愛しき天使の為に
彼の背負いし十字が、最果てに建てられし時、天使は涙する
彼らに捧げるは、哀悼の鎮魂歌ならずして、再会の祈りを
哀しみを繰り返さぬよう、私は永遠に歌い続けよう
彼らの為に…
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