─導き─

5/5
前へ
/17ページ
次へ
聞き覚えのない歌だからきっと自作の歌なのだろう。 「なんか…切ない歌…」 何となく、そう思いながら再び歩き出すと今度は声がする。 ─…ひかり… 「えっ?」 名前を呼ばれて辺りを見回すが声の主は見当たらない。 ─常闇に包まれし世界を照らす…ひかり… まるで、語りかけるかのように頭に響く声は優しくて、聞いた事のない筈なのに懐かしい気がする。 ─…助けて……君なら… 「誰なの…?助けてって、どういう事…?」 ─ドンッ! 誰かとぶつかった。本日二回目である。不思議な声に集中していたとはいえ、前方不注意にも程がある。 「ご、ごめんなさいっ!」 「こちらこそ…」 ─カタンッ… 立ち上がろうとした時、手元に見慣れないペンダントが落ちていた。 それは、写真とかをいれておくロケットだった。丸い形をしており、全体が銀でできている。装飾がかなり複雑で、なにかの紋様─強いて言うなら、魔法にありそうな感じだった。 恐らく、ぶつかった相手の持ち物だろう。 拾おうと触れた瞬間、ロケット全体が強い真っ白な光を放つ。 「えっ!?どうなって─……」 視界一面が真っ白に染まった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加