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聞き覚えのない歌だからきっと自作の歌なのだろう。
「なんか…切ない歌…」
何となく、そう思いながら再び歩き出すと今度は声がする。
─…ひかり…
「えっ?」
名前を呼ばれて辺りを見回すが声の主は見当たらない。
─常闇に包まれし世界を照らす…ひかり…
まるで、語りかけるかのように頭に響く声は優しくて、聞いた事のない筈なのに懐かしい気がする。
─…助けて……君なら…
「誰なの…?助けてって、どういう事…?」
─ドンッ!
誰かとぶつかった。本日二回目である。不思議な声に集中していたとはいえ、前方不注意にも程がある。
「ご、ごめんなさいっ!」
「こちらこそ…」
─カタンッ…
立ち上がろうとした時、手元に見慣れないペンダントが落ちていた。
それは、写真とかをいれておくロケットだった。丸い形をしており、全体が銀でできている。装飾がかなり複雑で、なにかの紋様─強いて言うなら、魔法にありそうな感じだった。
恐らく、ぶつかった相手の持ち物だろう。
拾おうと触れた瞬間、ロケット全体が強い真っ白な光を放つ。
「えっ!?どうなって─……」
視界一面が真っ白に染まった。
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