第一章 霊の見える少女

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 天津との関係は、今でも良好だ。ただ、友達以上の関係にはならなかったし、友達以上の感情も芽生えることはなかった。電流を受けたような、あの切なく胸が裂けるばかりの感情は恋愛とは違うなにかの出会いの形だったのかもしれない。  天津と俺は小中高と一緒にいた。あいつは以前に比べ、自然に笑うことが出来るようになっていた。やたらと周りの空気を読むことができて、勘が鋭く、気遣える。周りの同級生に比べると大人びて見えた。それは同時に感情を表に出していないようにも見えた。  俺を除き特に仲のいい友達がいるというわけではないが、周りには人が集まるようになった。だが、時折、人との距離を取るような印象を受けることはあった。どこかで壁を作り、一定の距離を保ち寄せ付けない。それは一体何なのか、俺には未だにわからない。あいつの中にある暗い何かをあいつの口から聞くことは叶わなかった。  そんな中、天津の壁を気にする様子もなく接する同級生と出逢った。その女の顔を見た時が、人生で2度目の電流が走った瞬間だった。
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