第一章 霊の見える少女

6/17
前へ
/195ページ
次へ
 天津と草薙。どちらとの出逢いも、俺にとって特別なものだった。  単に、どちらも特別な容姿だったこともあって、それが男としての衝動を起こさせたのかもしれない。というのも、あいつらへ向けられる好意は男子生徒の間でおそらく全員が特別なものであった。そうは思いたくはないが、俺だけが特別ではない。  だが1年が経つ頃にはその男子生徒の殆どがあいつらのことを憧れとしてでしか見なくなっていた。なぜなら、あいつらは全くと言っていいほど恋愛に関心がなかった。付き合うに不釣り合いな奴らしかいないのも事実だった。だがそれだけではない。  天津はやはり他人との間に一定の距離を置く。それは他の男子生徒たちに対しても勿論のことだった。ミステリアスな雰囲気を出し、他の男子生徒はあいつに声をかけるのも諦め、遠目からあいつに好意を向けるようになった。あいつに恋人など出来る日が来るのは今の所見当がつかない。  草薙に関しては、別格の存在として、もはやその場にいていないものの扱いになっていた。あいつは人間離れしすぎていると周りのやつもよく口にしていた。まずは体育祭の時それをみんな目のあたりにした。
/195ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1483人が本棚に入れています
本棚に追加