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「裕。幼なじみの沙希を覚えてるか?」
再び親父の言葉が響く。
あ、裕ってのは俺の名前。フルネームは樋口裕介。
沙希ってのは親父の言った通り、小さい頃の幼なじみで、同い年の女の子。
ちなみに名字は天宮(アマミヤ)。
「ああ……」
名前を聞くのは久しぶりだ。
最後に会ったのはいつだったか。
確か中学1年の冬くらいからそれっきりだ。因みに、俺は今年で高2だ。
そんな事より、それが何だってんだ?
「明日からお前を、その沙希の家へ送る。そこで住ませて貰うんだ」
おいおいちょっと待て。
何だって?俺が……沙希の家に住む?
確かにあそこは金持ちだが、今更こんな高校生を養える余裕なんてあるのか?
いや、それ以前にも問題がありすぎる。
あんた正気か?
「もちろん既に話は着いてる。
向こうも引き受けてくれるみたいだ」
マジですか?
その話だと、俺はすぐ明日にこの家を発つのかよ。
そんなことよりまず沙希のご両親。
年頃の女の子の家に、簡単に男を居候させてもいいのか?
まあ考えても仕方ない、か。
あと、気になる事は……
「親父、あんたはどうする気だ?」
親父とお袋には何かアテがあるのか?
借金で生活もロクに出来ない筈だろう?
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