恐怖と意思と別れ

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  長い間、動きを止めてる訳にはいかない。 しかし……沙希はもう走れやしない。 足に痛みを負った以上、もう走るのは難しい。 近くに隠れる場所でもないものか、と辺りを見回し、沙希の体を支えながら歩く。 おぶってでも運んでやろうかと声は掛けたが、頑なに拒否された。 頑固というか……そんな事言ってる場合じゃない。そんな事を思いながら、最も近く最適な場所へ向かう。 普通なら誰かの家に駆け込んでも良いような状況だったが、生憎この時にそんな考えは浮かばず、目の前すぐ近くにあった公園へとゆっくり向かっていた。 「大丈夫……だから……離して」 「嘘つくなよ」 こんな時に限って無駄に意地を張る。 まぁ、こいつらしいといえばこいつらしいんだが――何か、違う――。
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