依頼人は同級生 『前編』

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「それは出来兼ねます」 「どうしてさ」 「……浩司様。私はあなた様のパートナーや先生である以前に、使用人として、節度ある態度と衣服で業務に臨む所存です。ですからこの衣服は忠誠心の表れでもあり、証でもあるのです」 きっぱりと彼女は宣言した。目の光りが意志の強さを物語っている。 「他人がどう思おうと、御主人様は胸をお張りになって下さい。人を従えるのは偉大なことなのですから」 「……あー、なんか頭痛が……」 「浩司様!?」 ふと頭を押さえてみたら、クリスは跳ぶように寄って来て介抱をはじめた。自分の腕で浩司の身体を支え、横に寝かそうとする。熱を計るためか額をくっついた。 「頭痛でしたら横になられたほうがいいです。このまま病院へお運ぶしますから。ん!ちょっと熱が……」 「だー!!ごめんごめん、冗談だよ、ジョーダン!」 「冗談?では頭痛はしないのですか?今の熱は?」 「なんでもないなんでもない!大丈夫だから……クリスはなして」 クリスは軽い溜め息と共に安堵していた。本気で心配したらしい。ゆっくりと自分の身体を浩司から離した。 「……ならいいのです。ですが、そういうご冗談は以後お辞め下さい。私は本気にしてしまう質なので……」 「分かった。そうするよ」
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