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動かなくてもご飯がチャージされるのは有り難いが、なんだか罪悪感を覚える。
そこを指摘してもクリスは「メイドの義務」とかでこのスタイルを貫き通した。
どこでそんな義務を教えているのか不明だが、彼女はこれで真剣なのだ。
浩司が一杯めの茶碗をすぐカラにすると、タイミングよくクリスは次をよそってくれた。
料理はどれも美味である。箸も進むが、気になることがあった。
「あのさ」
「はい。何でしょうか?お口に合わない物がありましたか。それとも先程のメイド服についてでしょうか?やはり、リボンよりスカーフの方がお好みだったのでは……」
「いやリボンの方が……って、そうじゃない。後ろにいられるのは……なんか変な気がするんだ。できれば前にいてもらった方が俺は楽なんだけど」
「前……。浩司様と相席など私には勿体のうございます!」
「そうしてほしんだけど。その方が自然だし」
クリスは、難題に困る学者のような顔となった。
メイドとしてのプライドがあるのか、正座していたクリスは立ち上がろうとしたりしなかったりを繰り返した。
しかし結論が出たのか、すっ、と浩司の前へと移り座る。申し訳なさそうにお茶を酌んでくれた。
「これで……宜しいのですか?」
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