3542人が本棚に入れています
本棚に追加
「さっきよりかは断然いいよ。これからもこれでよろしく」
「……かしこまりました。御主人様」
彼女は嬉しそうに顔を綻ろばせた。
こうして向かい会っていると新婚さんみたいな雰囲気がしてくる。なんてことは口にしないでおいたら、クリスが代弁してくれた。
「夫婦のようですね」
「っば!?な、何言ってるんですか!?」
恥ずかしげに彼女が言う。
「浩司様には、そういう思考はございませんか?」
「うっ、それはその……。クリスが俺なんかに言う言葉じゃないかと……。そもそも、君を呼び捨てにするのも俺は」
「ここでは教師と生徒の関係ではございませんと、草創に申したとおりです。気になさらないで下さい」
「……でも」
「それとも……。いえ、私とでは浩司様も嫌ですよね。大丈夫です。私はずっとあなた様の使用人ですから。今のは聴かなかったことにして下さいませ」
「はぁ……」
言葉を濁したようにしてから、クリスは少し減った浩司のお茶を注いだ。
よくわからなかったので、彼女の言う通りにしておこう。先生の指示にも従うべきだ。
クリスはメイドという肩書の他に、春日学園の教師という仮面も持っているのであった。
最初のコメントを投稿しよう!