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「痛ってぇ!」
朝方だと言うことを、全く理解していないのか、本気で痛みを露わにする慧。
「おはよー」
慧が振り返ると、そこには長い髪を潮風に乗せ、笑顔を弾けさせた少女、香坂 咲(こうさか さき)が、立っていた。
慧と咲は幼なじみであるのだが、慧はそれが何だか嫌なようで、今日も…
「おぉ、咲」
いや今日は、明るく振る舞い咲と海沿いを歩く。
「あれ? 優しいね」
「ばーか…」
慧の背を咲が見つめながら歩く、と言った形で聖城高校に足を運ぶ。
水面には、輝かしい太陽が鮮明に映し出され、風に吹かれ揺れては、波によってかき消される。
――ザッパァーン!
勢いの良い波が、2人の不安を溶かすかの如く、浜辺に打ち付ける。
「着いたね…」
「あぁ…」
今2人の前に在るもの、それは紛れもなく、中学校より寛大な校庭に加え、バスケットゴールが外にも見える、聖城高校であった。
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