2950人が本棚に入れています
本棚に追加
「ここか…」
相も変わらず音楽を聞いている慧は、途端に真剣な表情をすると、唾を飲む。
「緊張してんのー?」
「ば、ばか! 違うよ!」
咲の唐突な問いが核心を突いたのか、動揺を見せる慧。
そんな光景を見つめる、何人かの男子生徒。
視線の先は――咲…。
「ねぇー皆に見られてる…」
「ばーか、それは…って」
咲は男子生徒に見られてると言うことに、不快感を抱いたのか、足早にその場を立ち去る。
容姿端麗が故、周りの視線を集める咲だが、好意を持たれていると気付いていないのだから、余程の鈍感である。
「慧!」
静静と足を動かす慧に、何やら掲示板みたいな所にて叫ぶ咲の姿が、伺える。
「同じだよー」
咲の言葉に肩を落とす慧。
「またかぁ…」
「宜しくね!」
実を言うと…
慧と咲は16年間の付き合いが由縁なのか、学校と言う学校では、一度もクラスが離れたことがないのだ。
最初のコメントを投稿しよう!