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いやいや、ちょっと待て。それは無いだろう。まさか、そんなバカな。だって、この娘の名前が金玉利なんて想像出来ない。
いや、それ以上にそんなお金持ちが銭湯なんかに来るわけ無いだろう―――!?
「――冗談だよな?」
「はい、冗談ですよ♪」
……うん。だよな、そうだよな。冗談だよな。幾らなんでもそれは有り得ないもんな。
俺は、そんな冗談にツッコミを入れるより、違ったという事実に安堵をするの方が上回っていた。
だって、あれだぞ?そんなお金持ちのお嬢さんとこうして隣り合わせで帰っているなんて、それだけで恐れ多いものだから。
あぁ、良かった、本当に良かった。
「私の家は、その隣りです」
金玉利さん宅のお隣。そこが少女の自宅らしい。此処からじゃそのお隣が遠すぎて見えないが。
金玉利さんの家が無駄に広いから、此処からそのお隣が激しく距離があるのだ。凡そ300mと言ったところ。
……ん?それって―――
「俺の家の、真後ろ!?」
そう、ズバリ俺の家は、そのお隣さんの丁度後ろに位置する場所にある。
ちなみにあの家は後ろにまで突き抜けていて、俺のお隣さんも金玉利さん。
ちなみに、裏には入り口もないのでお隣さんと呼ぶには微妙なのだが。
……いや、しかし後ろか。我が家の後ろとは、知らなかった。そういや隣り、向かいさんとは御近所付き合いがあるが、案外と後ろの家とは無いものだ。
「そ、そうなんですかぁ? えへへ。なら、いつでも遊びに行けますね」
「ああ、そうだね。いつでも遊びにおいで。
そうだ、遊びに来るなら妹とも仲良くなってやってくれよ。あいつ、喜ぶからさ」
何せ、少5にもなって目標が、『友達たーくさんっ、作る!』なんだから。喜ぶに決まっている。
「はい!」
そして、少女は俺の言葉に、笑顔で、そう答えてくれた。
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