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「御守朔椰、か。それじゃ朔椰、ありがとう。
それと、朔椰も良い名前だよ」
と、俺は少女――御守朔椰――に、先ほどの続きの言葉。御礼を言った。
ついで、日本ではある意味常識である、そちらも……なんて、社交辞令的に言ってみた。
けれど、確かに朔椰には、その響きが似合っている。
パッと見た感じだと、大人しそうなのに明るくて、年相応の可愛らしさを持つ朔椰には。
その朔椰はと言うと、普段からそんな事を言われ馴れてないのか、照れて、頬をリンゴのように赤くさせなている。
次いで、朔椰は口を開く。
「あ――ありがとうございます」
出た言葉は御礼。俺は、どういたしましてと簡単に返すと笑顔を作る。
「あの、その……ところで、呼び方―――」
「呼び方?」
「その、呼び捨て……」
「あ、」
確かに、知り合って間もなくて、名前も知ったのがついさっきの野郎にいきなり呼び捨てさせるのは嫌だったかな。
つい、癖というか何というか。俺、大概を呼び捨てにするからなぁ。
と、そうなら変えるけど―――と朔椰に聞くが。
「い、いえ! 全然、全く、これっぽっちも嫌って言う訳じゃないです!
むしろ、嬉しいですっ!」
即答された。それもかなり必死に。
けれど、朔椰が言うように、朔椰の表情は確かに恥ずかしそうにはしてるが、嫌がっているという風には見えない。
どうやら、呼び捨てに馴れていないらしく、単に、少し照れくさかったみたいだ。
俺はそうかと頷くと、帰路を再び歩き出した。
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