『運命の、出会い?』

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 ひんやりとした空気が俺――神無月 煌(かんなづき こう)を包む。銭湯にしては広い更衣室の空間は銭湯内とはまるで温度差があり、少し冷たいぐらいだ。  まぁ、銭湯に限らず風呂上がりのこの冷たさがまた気持ちいいんだけどさ。  さて、とっととバスタオルで水気を完全に拭き取るとしますか。    +  体、頭と綺麗に水気を拭き取った。髪は荒々しく、体は優しくと言った感じ。言葉にすると気持ち悪いからこんな感じだけで。  ちなみに俺はドライヤーを使わない主義でタオルと自然に乾燥を任せるスタイルだ。……ドライヤーを使ってるとハゲるらしいし。  理屈は知らん、親父がそう言っていた事を記憶しているだけだからな。  さて、着替えるとしますか。  ロッカーを覗き見る。中に入った服を取り出す。  青のGパン、紫のシャツに、黒いパーカー。それを淡々と着衣していく。  ――あ、ちなみに下着は既に着ていたのであしからず。  着替えが終わると財布を取り出しすかさず番台……というよりレジの方が表現的には近いか。レジへ。勿論、珈琲牛乳を買うためだ。  ま、これも銭湯の楽しみの1つだしな。 「和葉さん、珈琲牛乳1つお願い」 「は~い、110円ね♪」  番台にいた見た目20代前半、そうとしか見えない女性――竜宮 和葉(たつみや かずは)さんに珈琲牛乳を頼むとすかさずそれを出してくれ、俺はそれの料金をしっかりと払った。  さて、この和葉さん。実は――黎の母親だったりする。ちなみに黎は17歳。  うん、とてもそうには見えない。しかも和葉さんはかなりの美人さんだ。  滑らかにかつ光沢のある黒髪、それを尻尾のように束ねたポニーテールがとても良く似合う。ほんわりとした雰囲気のある人だ。  そして彼女こそが男風呂に若者が集まる理由なのだ―――。  なら女風呂は?と問われればそれはまた別の機会だ。と答えさせていただこう。  グイと瓶に入った珈琲牛乳を一気に飲む。冷たい液体が口に入り、喉へながれて胃に辿り着く。  一気に冷える食道機関。それと一緒に体も冷える。湯に暖まった体には丁度良い。  俺は珈琲牛乳を一気に飲み干してしまうとゴミ箱へ早々に捨てる。  ……さて、そろそろ出るとするか。
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