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俺は和葉さんに会釈をすると扉を開き、ロッカーから出た。
靴箱から靴を取り出してそれを履く。そして此処から外へ行こう。そう思い扉に手をかけようとした――
――瞬間。
「イヤァ―――――――ッ!!」
とんでもない音量の絶叫が俺の耳へ飛び込んできた。
俺はいきなりの絶叫にびくと反応しつつ後ろを振り返った。
声は割と高めなとこから女の子と推測。や、まぁ女性更衣室には男子たる俺は入れないので関係ない。和葉さんが何とかするだろう。
そうタカをくくり再び扉に手をかけようとした――
――瞬間。
がぁん、と物凄い音を立てながら女性更衣室の扉が開かれた。
俺はまたしてもびくと反応をした。けど今回は振り返らない。振り返れば女性更衣室が丸見えだから。
紳士たるもの、女性のプライベートを覗くような真似はしてはならない。
いや、まぁそれ以前に覗きはれっきとした犯罪だし。例え事故でも見てしまえば男は法律的に弱いんだよ。
――と、思考していた瞬間。
「ゴキブリやだぁ―――――っ!!」
再び絶叫。そして激しい足音。
……うん、激しく嫌な予感がするのは気のせいだろう―――
「――――――っ!」
どぉ―ん、と何かが勢いよく背中に何かが炸裂。痛い。こう、背骨に思いっきり“誰か”の頭らしきものが当たったらしい。
声にならない叫びが俺の中を駆け巡る。
……背骨が折れたらヤバいんだよなぁ、確か。半身不随になったりとかするらしい。ま、感覚はあるからただ痛いだけだろうけど。
……や、それよりも問題は――この背中にくっついてる“何か”だ。サイズ的に言えば140cmぐらい、小さな膨らみが背中に当たっているような気がする。
何やら二本の腕らしきものが俺の体に巻き付けられている。服が湿ってきている感覚もある。
――つまり、多分人間。それも風呂上がりの、女の子―――。
「――て、それはマズいだろ!?」
俺は振り返る。しかし誰もいない。ちなみに扉は既に閉められてる。
……そうだった、背中に張り付いてんだっけ。
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