ー柚子とCLOWNー

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冬なんて大っ嫌いだ。 キラキラ輝いてるイルミネーションも、肩を寄せあいながら街を歩く恋人たちも、みんなどっか行っちゃえ!! 私、相川 柚子21歳。 二時間前に、三年付き合ってた彼氏と別れました★ 二つ年上の彼は大学を卒業後就職してからすれ違いが続いて、ここ数週間はお互いメールしかしてなくて、久しぶりに掛かってきた電話で別れを告げられた。 私もなんとなくそんな気がしていたから不思議と涙は出なくて… 電話を切った直後にメイクばっちりして、髪を巻いて、最近買ったばかりのピンクのワンピースを着て外に飛び出したの。 もやもやした気持ち、かき消そうって、早く忘れようって思って無我夢中になって仕度して外に出たの。 でもね、街へ出たら…何よコレ…。 カップルばっかり。『寒~い』なんて言ってベタベタくっついてさ…街路樹は可愛い色の電球で綺麗にデコレーションされてて“Happy Merry Christmas”だなんさ…まだ11月だってゆうのに!!ほんとふざけてる。 私は賑やかな街とは逆方向に足を運んだ。 一人で居たくない…でも、友達に会って『別れたの』なんて言っても虚しくなるだけだし、今は人の同情なんて買いたくないし… そんな事をグルグルと考えていると私は全く足を踏み入れたことのないビル街に立っていた。
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