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「って、近寄んなや。このくそキス魔野郎」
ギロッと睨む捺に対し、キョトンとする由。
「…お前、今時珍しい位の純情さだね?」
「……」
こっちは真剣に怒ってるのに、何故か必死に笑いをこらえている。
こんな恥ずかしい事、ない。
「…あの、授業が始まりますのでご自分の教室に戻ってくださいませんカ?」
「あ、俺を拾ってくれる事考えてくれた?」
「激しくお断りさせていただキますです」
「…お前、さっきから日本語変だぞ」
捺の顔がとうとう青くなった時、本鈴が鳴った。予鈴はいつ鳴ったんだろう、恐らく先ほどの黄色い声にかき消されたに違いない。
「じゃ、俺はこれで退散すっかな。…またな?」
やっといなくなる、と気を抜いた捺だった。
「あ、忘れ物」
由はそう言い、教室を出ようとした足を止め、回れ右をして
捺を自分の方に引き寄せて、強引にキスをした。
チュッ!
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