嫌いなアイツ

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ーー昼休み。 「はー…、やっと昼休み…」 高校生活、まだ4日目。 はよ時間を進めてほしいわ。 さっさと卒業したいねん。 でも、卒業しても自由なんかないんよな…。 そう思うと複雑だった。 昼食に用意していたあんパンを取り出すと、目の前に人が立った。 …ん、デジャヴ? 「よっ」 …じゃなかった。 目の前にいる人物が昨日とは違うようだったからだ。 「…?」 「どう?」 「…いや、どなたですカ?」 「いやいや、俺だよ俺?」 あれですね、今流行りのオレオレ詐欺ですね。わかります。 そう簡単に騙されませんから。 「オレオレさん、何ですカ」 「…それ、ボケてんの? 俺、神山だよ、神山由」 「あー…、神山さん」 なんや、とあんパンの袋を開け、口に入れようとしたーー が、 今更ながらに、「神山由」という声が耳に入ってきた。
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