嫌いなアイツ

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「…え、」 食べていたあんパンを思わず落としてしまった。 あんパンを食べることばかりに気をとられていたから、目の前にいる男が神山由と同一人物だってことに、今ごろ気付いたのだから。 昨日とは打って変わって、何、この優等生ぶり。 キャラ変わりすぎやないの? 昨日、捺に否定されたのが悔しくて見た目を全部変えたという、由の意地だったのだが捺はそんな事忘れてるようだった。 「イーメーチェン、 ついでにオンナとも手切ってきたから」 くいっと、伊達眼鏡を上げてわざと大きい声で言ってくる。 「へ?」 「見ろよ、ココ。 バイバイつったら頬に平手打ちをプレゼントされたよ。あ~ぁ、もったいない事したかな? だから捺ちゃん、癒やして」 「……っ」 「くっ、…照れてる?」 不覚にも顔を赤くしてしまった捺を見て、満足そうに微笑む。 「…自惚れんなっ! あんたなんかそいつらと恋愛ごっこでもしてれば良かったんちゃう!?」 「……」 ーーうっ、なんでそんな目をするんよっ。調子狂うやん! 由の顔が一瞬悲しそうな目をしたのを見てしまい、何故か胸が痛い。 そして、由は何も言わずに教室から出ていった。
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