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捺が屋上にいた頃、由は一人で燃えていた。
くそっ…、捺の野郎。
こうなったら絶っ対にオトしてみせるからなっ!
…さっきのは頭にきたけど、照れ顔は不覚にも萌えちまったかも…。
はっ…、いけねぇ。俺が萌えてどうすんだよ。
「…由!?由なの?」
一人、廊下でブツブツと百面相をしていたら後ろから声をかけられた。
「ん?」
「えー、随分と変わったね!」
後ろを振り返ると、信じられないといった顔をした女がいた。リボンを見ると二年生だから、同学年か。
何か見た事あるけど、誰だったっけ?
「何があったか知らないけど…、前の由のが良かったな?」
「……」
「由らしくないよ?」
何気ないその子の一言に、由の顔は一瞬強張った。
「…俺らしいって何?」
「由?」
ーー恵(めぐみ)は由の腕を甘えるように掴み、由の顔を覗きこもうとしたら
「…触んな」
初めて、由に拒否されショックを受ける。
「…何でぇ?」
「……」
由はくるりと恵のいる方とは逆の方に行ってしまった。
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