俺を拾え

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「…っ」 目を開けると、頭に身に覚えのない痛みを感じた。 周りを見渡すと、見慣れた天井、馴染みのあるベッド、目の前には… 飽きるほど見てきた岡田の顔があった。 「……はぁー」 「…人の顔を見て溜め息つくのはやめていただけます?」 岡田がムッ、と捺の顔を覗き込んでくる。でも心配してくれてるのだろう、表情でわかる。 てことは、ここはやはりとも言わずもがな、自分の家なわけで。 「あぁ~…、頭痛い…」 「大丈夫ですか?見事に背中から倒れていきましたから、頭も強打されたのかもしれません」 「…普通に話せや、きもちわるい」 「はい、睨まない睨まない!」 捺と岡田は、外ではさっきみたいな話し方をするが、家の中では普通に話すことにしている。 というのも、二人は小さい頃からの付き合いだからだ。 「あっ」 重大なことを思い出した。 もしかしてもしかしなくても………、今日、うちは皆の前で素を出してしまったのではないか。 サーッと青筋がおでこに立つ。どうしよう。 捺が生まれた家、木下家ーー 世界三大グループの一つであり世界的にも有名なグループ。 捺はその家の一人娘。 そのため、当然、それなりの器量が問われる。関西弁なんて言語同断。 捺はこれでもお嬢様の中のお嬢様なのだ。
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