俺を拾え

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その頃、捺のファーストキスを奪った無駄にカッコイいい奴、神山由は指導室でこってり絞られていた。 「お前って奴は…、」 怒りを通り越して、溜め息しか出てこない由の担任と、かったるそうな由。 「……」 入学式でキスしたのがそんなにまずかったのか、いつもに増して木下(担任)の説教が長い。 「ん、おい聞いてんのか?そもそも何でキスなんかしたんだ」 「…目の前にあったから?」 「ほぅ…、疑問系だと? お前…、 上 等 じ ゃ ね ぇ か」 「…血圧上がりすぎ」 カッチーン、と目の前に立つ木下から聞こえた。 顔を真っ赤にしながら、ハァハァと荒い息を吐きつつ、自分を抑えようとしてるのだろう。 いつも常用している薬を出そうとしている。何の薬か知らないけど。 …今だ! コップに水を入れ、薬を飲んでる間に由は逃げ出した。 木下が深く深く深呼吸しながら後ろを見たらーー ヤツはいなかった。 「…神っっ、山ぁ~!!!!」 誰もいない廊下にそれは良く響き渡った。
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