始まりの安眠枕

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俺はとりあえず部屋の机らしきものを見つけた。 アンティークな机だが箱に囲まれて椅子に座れない。 本来の俺の部屋の勉強机なら漫画本やら教科書やら参考書やら乗っかっている…ひきだしの中には亜弥たん(グラビアアイドル)の秘蔵本が隠してあるのだが… 「…なんじゃこりゃ…」 試しに引き出しをあけたら…変な紋章が入ったカフスやら、どこぞの王家の紋章みたいなブローチが出てきた。 机の上に視線を向ければ無造作におかれた上質そうな紙が置かれている。 「…《合格通知書 貴殿はこのシルタン国宮廷採用試験にて優秀な成績を示したのでここにその栄誉を讚える。》……なんじゃこりゃ…こっちは《任命書…ユージェ・アルヴァニア・ガルイース 右の者を宮廷魔術士団調停課三尉魔術師に任命す。》…?」 読めない筈のミミズ文字が何と無く読める自分の脳内細胞を疑問に思いながら、これらの書類を机の上に戻す。 親指と人さし指で眉間を押さえ目を閉じると、脳内で俺は今の状況を整理しひとつの答えに行き着いた。 「うん、これは夢だ。俺は寝惚けたに違いない。」 第一俺は魔術なんか使えんし、そんなのを信じるオカルト野郎ではない。
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