三章・悪夢の夜

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「…やあ…リージェントじゃないか。」 「…これはこれは神官長殿…お久しぶりですね。」 前方から五・六人の神官服を着込んだ老人集団がやってきた。 きらびやかな服装と肥えた体が実に富を得た権力者の象徴である。 だがその中心の人物は実に人の良さそうな眼鏡をかけた老人は実に《善人》といった雰囲気だ。 「…国王陛下に?」 「…えぇ…だけど会ってはくれなくてね…法王様には会って下さるのに私には会いたくないようだ。」 「…そうでしょうね…俺も貴方嫌いですし。」 ピシィ… 空気が一気に冷え込む中、二人はポーカーフェイスを保ったまま静かに互いを見据える。 「…あまり吠えるなよ…魔導士風情が…六柱の神の加護下でなければ魔術師なんぞ異端審問をすることができるのだ…王に飼われる魔の者分際で神に遣える私に噛みつけばどうなるかわかっているだろうに。」 「魔力もないインチキ祈り屋程ではありませんよ。…ピーチクパーチク神の威を着る分際で良くもまあ…厚い顔して王宮にこれたものですね。法王になれなかったからと王に取り入ろうと毎日こられても迷惑です。」 異様な雰囲気に回りは氷点下の空気になっていく… 「…ところで…君の所に《聖眼》を持つ新人魔術師が来たそうだな…」
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