三章・悪夢の夜

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アニキスは苦笑すると再びアンネと歩き出した。 ━━━━━━ ──── …あの後、あのピンク頭のお嬢様を何とか撒いて、部屋に帰ると俺はとりあえず部屋を片づける事にした。 俺だって綺麗好きとは言わないが、ゴチャゴャした部屋で寝る気はない。 片づけていたら時計の針は既に22時をさしていた。 都心と違って静かな夜だと思いつつ、本棚の整頓にはいる。 「…《我が愛する弟子へ》…何故この本だけ日本語?」 本を片づけたら何故か一冊だけ日本語で書かれた本を発見した。 その本を開いた1ページ目に俺は眼を見開いた。 《…─これを読めると言うことは─…君はもうこの世界にいないのだね…ユージェ─》 「…な…んで…」 《─そしてようこそ もう一人の我が弟子 ……真山祐司君……─》 「何で…何で俺の名前が書いてあるんだよ!?」 夢は…泡沫 夜に訪れ朝には消える 俺は悪い夢の中に入るような… そんな不安が一冊の数行の文字で心から溢れ出した。 《…─無知なるもう一つの世界の君が、この世界に来た時のためにこの本を書き記す…─》 「…こんなの夢だ…覚めてくれよ…」 《…─君は今…本当に異世界にいるのだよ?祐司君…─》 其は現実 其は真実 其は心理の深淵 故に人は目覚めを望む 「…俺は…魔術師なんかじゃないんだ…俺は…!」 …俺だ…! 四章へ続く
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