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アニキスは苦笑すると再びアンネと歩き出した。
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…あの後、あのピンク頭のお嬢様を何とか撒いて、部屋に帰ると俺はとりあえず部屋を片づける事にした。
俺だって綺麗好きとは言わないが、ゴチャゴャした部屋で寝る気はない。
片づけていたら時計の針は既に22時をさしていた。
都心と違って静かな夜だと思いつつ、本棚の整頓にはいる。
「…《我が愛する弟子へ》…何故この本だけ日本語?」
本を片づけたら何故か一冊だけ日本語で書かれた本を発見した。
その本を開いた1ページ目に俺は眼を見開いた。
《…─これを読めると言うことは─…君はもうこの世界にいないのだね…ユージェ─》
「…な…んで…」
《─そしてようこそ
もう一人の我が弟子
……真山祐司君……─》
「何で…何で俺の名前が書いてあるんだよ!?」
夢は…泡沫
夜に訪れ朝には消える
俺は悪い夢の中に入るような…
そんな不安が一冊の数行の文字で心から溢れ出した。
《…─無知なるもう一つの世界の君が、この世界に来た時のためにこの本を書き記す…─》
「…こんなの夢だ…覚めてくれよ…」
《…─君は今…本当に異世界にいるのだよ?祐司君…─》
其は現実
其は真実
其は心理の深淵
故に人は目覚めを望む
「…俺は…魔術師なんかじゃないんだ…俺は…!」
…俺だ…!
四章へ続く
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