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僕は彼女と喋っていると、どんどん惹かれていくというか、こんな気持ちになるのはミカが亡くなってから忘れていた感情だった。
彼女のことをもっと知りたいと思った。
僕は思い切って言った。
「僕の名前は五十嵐鉄平。よかったら君の名前教えてくれる?」
「いいわよ、私の名前は如月小夜(きさらぎさや)」
「小夜ちゃんか。
なんて言ったらいいんだろう。君と話していると、なんだか落ち着くんだ。
ミカが死んでから、1ヶ月悲しみの底にいるって感じだったんだけど、君と話している間だけはそう思わなかった」
「私もあのときの悲しかったときのことをあなたといると忘れられるかもしれない。
というより、あなたとならこれから起こるかも知れない辛いことだって乗り越えられるような気がする」
僕がこんな風に思うことは、ミカを裏切ることになるのだろうか。
でも、僕の思いは揺らがなかった。
僕は目の前にいる彼女を、守りたい。
彼女の言うように、この先に起こるかも知れない辛いことだって、2人で乗り越えてみせる。
いや、彼女を僕が支えていくんだ、と。
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