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30分くらい経ったところで、白い湯気がたったオムライスが2つテーブルに並んだ。
僕は小夜にスプーンとお手拭きを渡した。
小夜はお手拭きで念入りに手を拭いてから、笑顔で手を合わして「いただきます」と言った。
僕もそれに合わせて言った。
小夜はスプーンで真ん中のデミグラスソースがたくさんかかっているところを一口分崩してから、口に運んだ。
「あ、おいしい」
僕も一口食べてみた。
確かにおいしい。
ふわっととろける卵とデミグラスソースがマッチして、あとからキノコの香りが口の中で漂った。
(卵とデミグラスソースが婚約するならキノコは仲人の役割を果たしていると思った)
小夜はおいしい、おいしいと言って、いつのまにか完食していた。
僕も完食した。
ふと小夜の顔を見ると、右頬にデミグラスソースがついている。
「もう小夜は子どもみたいだな」と笑いながら、頬についたデミグラスソースを指で取って舐めた。
小夜は無邪気に「へへっ」と笑った。
オムライスを食べ終えた小夜はバッグから薬を出した。
白い錠剤だった。
「それ、何の薬?」
僕は聞いた。
「コレ?ただのビタミン剤だよ。最近よく口内炎ができるんだ」
小夜は錠剤と水を口に含んでゴクリと飲み込んだ。
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