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それから二時間ほど経っただろうか。
僕はミカの手を握り、ミカの母親はそんな僕らを黙って見ていました。
すると、ミカの体がビクンと大きく痙攣しました。
その直後に心電図モニターのアラームが部屋中に響き渡りました。
それに気づいた看護師がすぐに駆けつけ、その後に引き続き医師もやってきました。
僕とミカの母親は部屋から出て、ただ祈ることしかできなかった。
治療の甲斐なく、ミカは天へと召された。
もし願いが叶うならば、もう一度ミカのあのはにかんだ笑顔が見たかった。
そんな願いも叶わず逝ってしまったミカ。
あのレストランさえ予約しなかったらミカは死ななくて済んだはずなのに。
あの時、僕がミカに手を振らなかったら死ななくて済んだはずなのに。
僕は亡骸となったミカを抱いて泣いた。
心電図モニターの電子音もしなくなった静まり返った病室で、僕のすすり泣いている音だけがしていた。
ミカの頬は赤みがさして、僕に微笑みかけているようだった。
2日後、僕はミカの告別式に参列した。
これが本当に最後の別れだ。
僕はただ茫然として、ミカが死んだことを理解できていなかった。
頭で理解していても、心では理解していなかったのだ。
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