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お見舞いに行った僕は友達の謙と院内を歩いていた。
すると、前から見覚えのある女性が歩いてきた。あれは、そうミカがこの病院に運ばれたとき、僕とぶつかった女性だった。
僕は、あのとき気が動転していてちゃんと謝れなかったから、彼女に謝ろうと近づいて行った。
「謙、ごめん。僕、急用ができたんだ。先に行っててくれ。後で行くから」
そう言い残し、謙から離れていった。
僕は彼女に近づき、こう言った。
「あの……」
「あっ!この前の……」
「覚えていてくれてたんですか?」
「えぇ、だってあなた真っ青な顔をして、猛スピードで走って行ったから、すごく気になっていたの」
「あの時は本当にすいませんでした」
僕はそう話しながらも、あの夜のことを思い出してしまって、今にも涙がこぼれ落ちそうになっていた。
そんな僕を見ていた彼女は気さくに話しかけてくれた。
「そんなこと気にしないで。私もあの時は、すごく落ち込んでたの。何があったのか私には分からないけど、あなたが話した方が少しでも落ち着けるのなら、話して」
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