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僕は考えた。ミカのことを他人に喋ってもいいものか、と。
でも、この女性と喋っていると、なぜか心が安らぐような不思議な感覚がしたので、話そうと思った。
僕は近くにあった長椅子に腰かけて、女性が隣に座った。
そこで、僕はあの夜のことを話し始めた。
時折、涙声になりながら……。
女性もハンカチで目を押さえながら、最後まで聞いてくれた。
「そうだったんだ。辛いこと聞いてしまってごめんなさい」
「ううん、いいんだ。今までずっと殻に閉じこもったような生活をしていたから、この話を他人にしたのは初めてなんだ。
話したら、なんだか気が楽になったようだよ。
こんな話、最後まで聞いてくれてありがとう」
「こちらこそ、私はあのとき自分には生きている価値なんてないって思ってたの。
あなたの話を聞いて、そんなときに見たあなたの顔はミカさんに生きてほしいって、そう願っていた顔なんだなぁと思ったの。
私もそんな風に思ってもらえるような人がいてくれたらなぁ、なんて……。
私、何言っているんだろ?
なんか、こんな話したの初めてだし、恥ずかしくなっちゃった。
ごめんなさい」
「いいよ、お互い様だし」
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