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4. 白い朝
朝起きたら祖母はいなかった。
今日は12月24日
クリスマスイブ。
僕は食卓に行く。
母上が作った朝食が
机に並べられている。
ご飯は僕好みの固さ。
味噌汁は僕好みの味付け。
茹でたリンゴにマヨネーズを
和えたサラダなんてない。
【今日なぁ…‥
婆ちゃんの夢見たねん】
椅子に座り僕は母上に言う。
【今日婆ちゃんの
命日だもんね】
母上は僕のコップに
お茶を注ぎながら返事した。
そうだね…‥。
祖母がこの世界から
旅立ってから
3回目のクリスマスイブだ。
朝食は今日も美味しい。
でも祖母が作った不味いご飯を
食べてる時の方が
ずっと楽しかったな…‥
って思った。
未開封の銀色の袋を
鞄に詰めて
僕は祖母のお墓へと向かう。
寒がりの祖母の為に
買ってきた手袋。
【又来年も夢で会おうね】
そう呟きながら
墓石に手を合わした。
ロウソクの火がユラユラと
ゆらめいていた。
*クリスマスイブ*
‐END‐
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