2. 昼

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2. 昼

  祖母は小さな背中を 更に小さく丸めながら 僕の洗濯物をたたんでる。 【婆ちゃん出かけるから  用意しいや】 その一言で祖母は ニコニコしながら入れ歯を入れる。 【この帽子似合うかな?】 黒く大きなツバがついた フワフワの帽子を被りながら 僕に聞く祖母。 4年前のクリスマスに 僕が買ってあげたモノだ。 【璃亞が買ったんやから  似合えへん訳ないやろ?】 その僕の一言で 満面の笑みを溢す祖母。 誕生日に僕があげた杖を持つ 祖母を車に乗せ 僕は目的も無く車を転がす。 【何処に行くん?】 助手席で子供の様に はしゃぐ祖母。 "婆ちゃん可愛いなぁ…‥" と思いながらも 【うっさいから黙って】 と怒る僕。 いっつもそう…‥ 思った事と正反対の言葉が 口から出てしまう。  
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