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彼女が冷静でいるのは、──と言うより呆れている。またかと軽く息を吐いた後、ヤル気なさげに手を上げた。
「先生ー。リオはまた屋上に行っちゃいましたー」
「何? またブローズバトル? 全くあの子ったら!」
セヒルは苛立って名簿で教卓を叩いた。
屋上は落下防止の為、ガラス製のドームが天井になっていた。
その場で、睨み合う二人の男がいた。
一人は幼い身長で、名前は勝俣クニ(かつまたくに)。ユウコの弟で、彼女と同じ、青い瞳に黄色い髪のショートだ。黒いシャツを、布製の黄色いジャケットで覆う。青い短パンに、赤いキッズシューズを履いている。
その少年は、目の前の男に指を突き付けて叫ぶ。
「今日こそ決着をつけてやるぞ、丸川リオ! この日の為に三日間も特訓したんだ!」
そう言うクニに対し、リオと呼ばれた男はニッと笑っていた。
彼は黒髪を後ろで一つに縛り、青いキャップでつばを後ろに被っている。オレンジのフードに、真ん中に稲妻が描かれた青いツナギを着ている。そして青いスポーツシューズを履き、左手には指無しグローブをはめていた。
リオは余裕たっぷりな笑みで、指をチッチッチッと、左右に振った。
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