何人たりとも俺様の前は走らせねぇぜ!!

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
俺は走り屋。 地元でもちっとばかし有名でさ。 峠やらなんやらガンガン攻めてたもんだ。 改造大好き、交通法規無視大好き(笑)。 俺と愛車の相性はバッチリで、 「何人たりとも俺様の前は走らせねぇぜ!!」が俺の口癖だった。     が、そんな俺は。     交通事故で死んでしまった。     愛車もろとも見事に ドカーン!! はい、サヨナラだ。   ……ま、自業自得って言われればそれまでだけど。     はっきり言って俺は悲しかった。   走り屋全国制覇の夢半ばで死んだ事も悲しかったが、大事な愛車がスクラップになった事もメチャ悲しかった。   愛情込めて改造した俺の車。 毎日アホみたいに洗車してた俺の車。 彼女に『アタシと車とどっちが大切なのよ!!』と言われた時も『車!!』って即座に答えてビンタくらったっけ…。    こんな大切な愛車と別れるなんて。 うわーん(涙) 悲しいーっっ!!   ピカー。(BGM・なんか神々しい音楽) 突然、嘆く俺の前に一筋の光が射した。すると目の前に頭に車の形の帽子を被った変な爺さんが現れた。 「わしゃ~、走り屋の神様じゃ」 「……はあ!?」 「お前は生前、走り屋道を愛し、車を愛した。よって新しい走り屋魂を授けてしんぜよう~」(BGM・劇的な音楽) 「はっ、はは~っ!!」訳も判らず雰囲気で俺は一応土下座してみた。    この際、もう何だっていいや!!また愛車と走れるなら!! 走り屋の神様、どうぞヨロシクお願いしまーすっっ!!     こうして俺は再び地上に舞い戻った。     「おらおら!!どきやがれ!!何人たりとも俺様の前は走らせないぜえっ!!」 あれから俺は、毎日怒鳴りながら爆走している。   俺は救急車に生まれ変わっていた。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!