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痛々しすぎる音が響く。
床に尻餅をつく葵は、モロに入った拳に目まいがした。
「いって……!!!!!」
「あ、葵くんだったの!!!??ごめんなさい!!!」
恭香が慌てて駆け寄る。
葵は鼻血が出てないことを確認して、口の中がみるみるうちに鉄の味へと変わっていくのを感じた。
「何かあったのかよー?」
間抜けな声でひょっこり現れた双子の片割れ、右恭が恭香と葵を見て固まった。
高く結われたポニーテールの先が大きく揺れる。
「…修羅場か?」
「違うよ右恭!」
「確かに俺にとったらそうかもしれね…」
「葵くんまで!!」
「何で今日に限って修羅場作るかなァ…」
右恭が真顔で言う。
葵がやっと立ち上がると、また顔を出す人物が現れた。
「呼んだかしら?」
「…修羅場とは言ったけど、『朱羅』とは言ってない…」
葵が苦笑した。
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