【前途多難?】

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自由な校風と、男子校という特殊な環境のせいか、統稜学院では同性愛というものがナチュラルに受け入れられている。 そのため、不純同性交遊がはびこっているのも事実だ。 そんな統稜学院に於いて、不純同性交遊の取り締まりを行う権利を有しているのが、御神宥志率いる統稜学院高等科生徒会だった。 だが、その内情はと言えば、けっして自慢できたものでない。 何しろ会長と副会長が恋人同士な上、書記と会計も恋仲という、男子校ならではの組み合わせだったりもする。 ともあれ校則で禁止されているのは不純同性交遊であり、相手が不特定多数でない限り、統稜では恋人が同性であっても問題はないのだ。 そんな異色とも言える生徒会ではあったが、美形揃いで有名な統稜の中でも人気と知名度は絶大だった。 それだけでなく、生徒会幹部の優秀さは近隣の学校にも知れ渡っていて、その統治力には目を瞠るものがある。 とは言え、全校生徒をたった四人で纏め上げるのは、至難の業だった。 せめて学年ごとに分けるとか、他に方法はいくらでもあるはずなのだ。 何かが起きてからでは遅いのに、と、そう思ったところで宥志は頭を切り替えた。 今更何を考えたところで、ここは長野県。 すでに合宿は始まってしまっているのだから。 仕方がないとばかりに宥志はため息を吐くと、書類をファイルに挟み込んで立ち上がった。
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