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王子はライ王子が去った方をまだ見ていたけれど私の視線に気がついてこちらを…少し驚いたように見た。
「彩。一応言っておくけど、私は怒ってないからね?」
「ふぇ?」
どうやら泣きそうな顔で考えていた事が伝わったらしい…
ちょっぴり恥ずかしい。
でもよく見ると、王子はいつもの王子だった。
よかった…。
「さあ、城に戻ろうか」
「はい」
踵をかえし歩きだすと、王子に柔らかく手を握られた。
突然の事に少し驚いて王子を凝視してしまった。
「たまにはいいでしょ?昔はよく手を繋いで探検とかしたじゃない」
「…そうでしたね」
私がここへ来た時。
まだまだ遊びたい盛りの王子は勉強が嫌で、外で遊ぶ事に夢中だった。
年格好の変わらない私が来た事で更に遊ぶ方へ意識がいってしまい、よく二人して怒られたっけ。
懐かしいな。
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