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「彩華の部屋に来るのは初めてね。あなたがここへ来て、もう8年になるのに」
それはそうだ。
いくら長くお世話になっていて家族のように思っていても、身分が全く違うのだから。
でも、イシュリナ様もジオン陛下も王子も、私を家族のように思ってくれているのはわかる。
実は食事を一緒にとっているのだ。
ここに来た時からそうなんだけど…
もちろん使用人では私だけ。
でも流石に気が引けるので、今は夕食だけご一緒させてもらっている。
「実はね、あなたに相談…があるの。聞きたい事もあるわ」
「え…私にですか?」
何だろう…
「セルジュの今後の話なのだけれど…」
来た…
なんとなくその事ではないかと思っていた。
それを顔には出さず、イシュリナ様の次の言葉を待つ。
「あの子ももうすぐ成人するでしょう?そろそろ将来の伴侶を決めてもよい時期なのだけれど…」
そこまで言うと、イシュリナ様はじっと私を見つめた。
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