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言葉にしなくても、イシュリナ様には伝わったみたい。
イシュリナ様はそれ以上言わず、寂しそうに微笑む。
「王子には内緒にしてくださいね。お優しい方ですから、結婚しないと言われるかもしれません」
「ええ…そうね。確実に言うでしょうね」
その姿が容易に想像できて、私とイシュリナ様は顔を見合わせて笑ってしまった。
いつまでも内緒にはしない。
王子が結婚した後で…。
卑怯だけど。
はぁ、寂しいな…
リリアや庭師のおじさん、ライ王子、ジオン陛下、イシュリナ様、セルジュ王子…
皆といられるのも、あと少しなんだ…。
でも嬉しくもある。
故郷へ帰れる事が…。
複雑な気持ちを少しでも晴らそうと外を見た。
綺麗な月の光が辺りを照らしていた。
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