朝のはじまり

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「あ、彩華おはよ☆」 後ろから声をかけてきた同じような服装の彼女は仕事仲間で親友のリリア。 肩までで切り揃えられた茶色の髪の毛に、クリっとした目が可愛い。 「おはよう、リリア」 「今日だね、セルジュ王子が戻られるの」 私が仕えているこの国の第一王子はセルジュ様と言って、今は海外に視察に出掛けている。 今日の昼頃に帰られる予定だ。 「うん。だから今日は王子の好きなクッキーを焼いておこうと思うの。後でリリアにもあげるね」 「やったぁ☆あたし、彩華のクッキー大好き!」 私はお菓子作りを趣味としていて皆に配ったりする。作る中でも特にクッキーは好評のようで…。 王子は甘いものが得意ではないけど、私が作るお菓子は平気みたいなので 結構定期的に作っている。 もしかすると、王子も皆も甘さ控えめっていうのがいいのかもしれない。 「今から作りにいくんだよね?今日も期待して待ってるから」 「了解」 二人して笑う。 朝、他愛もない会話でリリアと笑い合うのが楽しみの一つ。 これでやっと今日が始まった。
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