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「やば~い!王子のお出迎えが間に合わなくなる~っ(泣)」
私は今、半泣きになりながら廊下を走っている。
お菓子作りに没頭しすぎて時間を忘れていただなんて情けない…っ!
いつもなら早めに門で王子を待っているのに、今日は王子の到着に間に合うかどうか…(泣)
お城の中は広い。
廊下は長いし、美しい庭も広々としていて駆け抜けるのに時間がいる。
「おはよう彩華。そんなに慌てて、王子のお出迎えかい?」
庭を走っていると、庭師のおじさんから声をかけられた。
名前はハーネスさん。歳は六十代というところ。
優しいグリーンの瞳が楽しそうに笑っている。
「おじさんおはよう!そうなんだけど、出遅れちゃって…」
「そうか。確かにさっき城の兵が門に向かっていったなぁ。」
「わわ、やっぱり?急がないと…おじさん、またね!!」
おじさんは笑いながら手を振ってくれた。
後でおじさんにもクッキー持っていこう。
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