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足が絡まりそうになる程走ると、やっと門が見えてきた。
ちょうど王子御一行が帰ってきたらしい。
私はラストスパートをかけて門まで走った。
王子と私が門にたどり着いたのはほぼ同時。
「王、子…っ…おかえり…なさぃ…」
息があがってまともに喋れない~!本当に情けないわ…
「ただいま、彩。そんなに走ってくる事ないのに…大丈夫?」
あ、彩って呼ぶのはセルジュ王子だけ。昔からそうなんだよね。
王子の柔らかい声で名前を呼ばれるのはあったかい布団に包まれてるようで好き。
恥ずかしいから言わないけど。
あぁ!そんな事より、遅れたうえに心配までされて…
王子の淡いブルーの瞳が心配そうにこちらを覗き込んでくる。
大丈夫だと言おうと、やっと呼吸を整えた所で王子とは別の声がかかる。
「相変わらず体力ないなぁ彩華は」
王子の後ろから出てきた人物。その人は…
「ライ王子!ご一緒だったんですか」
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