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ライ王子は隣の国、レイアラン国の王子で、セルジュ王子とは幼なじみ。
私もここへ来た時からの付き合いで、こう言っては何だけど気安い感じの方だ。
「こっちに来る途中で会ったんだ。だから一緒に来た」
ライ王子の言葉に続いてセルジュ王子が少し疑問な感じの顔で私に言った。
「私に用事ではなく、今日は彩に用事なんだって」
「私に…。あ、もしかしてこの間の件ですか?」
心辺りがあって聞いてみると、ライ王子はニカっと笑った。
「この間の件?」
王子はやはり話が見えなくて疑問なようだ。
「あ、王子は知りませんよね。実は先日、ライ王子に頼まれていた事がありまして…」
「彩華はお菓子作りが得意だろ?久しぶりに食べたくなったんで、作ってくれるように頼んでおいたんだ」
そう、数日前に街で偶然ライ王子と会った時に頼まれた。どこかのお店で食べたお菓子があまり口に合わなかったようで…
「彩華の作ったやつが一番うまいからな」
ライ王子は爽やかな笑顔で言ってくれた。
「王子がお好きなクッキーも焼きましたので、陛下にご挨拶なさった後に召し上がりませんか?」
そう言うと、王子は柔らかく微笑んでくれた。
「わかった。父上に挨拶と報告を済ませてから部屋へ行く。」
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