羽がない理由

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羽がない理由

「私,友達と学校に行くの,久しぶりだな。」 高橋がポツリと言った。 「ほんと?」 「うん…私,暗いから,友達あまりいないし…咲は家が遠いから,一緒に行けないから…」 高橋の顔が沈み,俯いた。俺はそんな高橋を抱きしめたいと思った。 「なら,俺が毎日一緒に行くよ。いや…俺が一緒に行きたいんだ。」 俺たちは静かに見つめ合い,高橋が笑った。 「ありがとう。今日から一緒に行こうね」 笑った高橋の横顔がかわいかった。 …そして,高橋の唇が震え,涙が流れた。
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