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最後のパッケージを裂いてから、家の前に車が止まったのに気がつき、俺は身を低くした。
雪が止んだからか、がらり、窓が開く。
こっそりと俺は、下にトナカイを投げた。屋根で寝転がる。
「雪は降らなかったが、なんとか仕事は終わったぞ」
親が帰ってきたようだ。
「えー、雪降ったよ! サンタさんがね、あっ、トナカイだ!」
よかった。見つかった。
「トナカイー?」
俺の頬が、突然濡れた。
雨粒が落ちてきたのだ。
はは、暖かいからって、クリスマスに雪じゃなくて雨が降るとはな……この分じゃ砂糖も溶けるな。雪じゃないってバレない、ラッキーだ。
「ええと、早くトナカイを拾ってあげなさい、濡れるから」
「はーい」
すぐに窓は閉まった。
ぐっしょりと体が湿っていく。とりあえず、下のやつらが寝静まってから帰ることにしよう。
サンタって、本当にいるのかな。いや……
サンタか、そうではないかの違いが重要なのではなく。
なにか奇跡みたいな、ちっこいしあわせを渡せるなら、誰だっていつだってサンタクロースなのかもしれない。
メリークリスマス。
それを知った俺は、きっと明日から世界が違って見えるはず。
なんてな。
けど、もっと真面目に働いてみるか。
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