12月20日

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             ピピピピピピ。 無機質な目覚まし時計のアラームが、狭い部屋に響く。 6時30分。              「寒い寒い寒い寒い寒い……」 教科書を撒き散らした床を跨ぎ、ガスストーブの電源を入れる。 ガス独特の臭いが、周囲に満ちる。 ポットの残量を確認。 ガサゴソ。 大雑把に片付けたケースからインスタントコーヒーの袋を探す。 確かここに……              カフェインで無理矢理睡魔を抑え、資料に目を落とす。 昨日の面接は、一発合格。 ウェイターのバイトは前にもやったことあるしな。 「制服か…なんかはずいな」 どっかのお偉いさんの執事みたいな格好だ。 「ま、着替えるのは事務所でだけどな」              独り言を玄関で吐きながら、お気に入りのスニーカーを履く。 トントン。 「行ってきます」 無人の部屋が俺を送り出す。
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